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昨年から読んでいた『ノラや』(内田百閒 著/中公文庫)を読了。
百閒先生のあまりの憔悴ぶりに、こちらも元気が無い時には
なかなかひらけなかったり、先に読まなければならないものがあったり、
書かなければならなかったりで、電車のなかで少しずつ読んでいた。
惜しみながら読み終えたのだけど、ずっと持ち歩いていたので
バッグに入っていないのがさびしいくらい。
『第一阿房列車』を貸してくださったKさんが見えたので、
「わたしはすっかり百閒ファンになりました」と話す。
Kさんは今ご家族が入院中で、毎日病院に通っている。
忙しい合間に寄られ、今度は『ほんわか介護』(城戸真亜子 著/集英社)を
貸してくださる。
本の話をすこしする。
日々のたいへんなことから離れ、二人で気があって笑う。
帰ってから、本を読むとはそういうことなんだろうとしみじみ思う。
みんな元気になれたらいいな。
*
***
*
知人が「食べられない料理の写真はつまらない」と言うのだけど、
たしかにそのとおりである。
だけどこりずにアップ。
ネットでおすそわけできなくて残念。
でも味まで写らないのがよかったりして。
タイの鶏肉のせ炊き込みご飯「カオ・マン・ガイ」を作ってみようと思ったのに、
勝手にアレンジして、焼き鶏のせターメリックライスになる。
職場からの帰り道にインドカレーのお店があって、
たまにリクエストがあると、持ち帰りにしてもらい子どもたちの家に寄る。
そこのカレーは絶品、厨房の人が入れ替わったらしくさらにおいしくなっていた。
それでむしょうにターメリックライスが食べたくなり、
タイ米にターメリックとカレー粉、ナンプラー、生姜を入れ、
フライパンで表面だけかるく焼いた鶏肉をのせて炊き込む。
圧力なべでいつものように加圧3分、自然放置。
鶏肉をゆでたスープで炊きこむのだろうけれど、その場合
いったん冷やして、白く固まった脂を除いてから使いたい。
その時間が無いので、焼いて、余分な脂だけ落とす。
お弁当にも入れるのが前提なので、あまり脂っぽいのもと思って。
これはこれでおいしかった。(いつでも自分に甘い)
玉葱をスイートチリソースとチリインオイルと柚子酢で和えたものを
付け合わせに。
生の玉葱やニンニクって以前はほとんど食べなかったのだけど、
宅配に入ってくるものを食べきろうとするうちに、たくさん食べるようになった。
大根と人参のなます、香菜を添えて。
寒くなったためか、今回の大根はみずみずしくて、とても甘かった。
ちょっと太すぎたか…。
なんとなくベトナムっぽいかも。
翌日の夕飯。
疲れていたので、作り置きの挽肉とニラの炒め物を入れて雑炊を作る。
スープにナンプラーを入れて。
先日冷蔵庫の整理をしたら、賞味期限切れのナンプラーが2本出てくる。
買ってあるのを忘れてまた買っていたのだった。
背が低いので、高いところのドアポケットが死角である。
期限を見たら、どうやら3年おきくらいに、ブームがやってくるよう。
でもナンプラーの扱いにだいぶ慣れたので、今回はだいじょうぶそう。
前日のなますに、チリインオイルを混ぜる。
チリインオイルは、唐辛子やにんにく、海老などの混じった甘辛いペースト。
旨味も出るので、使いやすい。
少しずつ調味料に慣れている。
◇
久しぶりに『青いパパイヤの香り』が観たくなり、DVDが欲しくなったけれど、
今月はがまんしよう。
金曜日、ちょっとむしゃくしゃすることがあって、携帯をとり
「年齢不問・高収入」で検索する。
できそうな仕事なし……。
「高収入」が無理だったか……。
本気で仕事を辞める気なら、こんなことでパケット代を使っていられない
とだんだん冷静になる。
あぶなかった……。長い春休みがやってくるところだった。
それにしても、「北風と太陽」の旅人の気分である。
強い北風が吹けば吹くほど襟元をあわせて、決してコートを脱いだりしない。
わかりくいかもしれないけど、説明しにくいので。
先週はなんだかくたびれました。
だからというわけではないのですが、髪を切りに出かける。
乗り換えの駅で、夕焼けを背に木々の影がきれいだった。
まだ真っ暗になる前の短いけれど美しい時間。
夕闇のなかで柳がやさしかった。
☆
美容師さんとタイ料理の話をする。
彼女は鼻のなかにつめてもよいくらいパクチーが好きだと言う(笑)。
わたしも大好き。
たまたま見つけたタイ料理のお店で食事をして帰る。
おいしかったけれど今一つ納得できず。
アムリタ食堂つよし。
家に帰ってドアを開けるとアジアの屋台のにおいがした。
(行ったことないけれど)
実はその前日の金曜日、ストレス解消とばかりにあれこれ料理をしたのだった。
金曜日から日曜日にかけて作ったタイ風?の料理を一挙公開!
ジャスミンライス(タイ米)を買ったので、炊き込みご飯を作る。
塩豚と白菜を圧力鍋で煮てあったので、塩豚を小さな角切りにして、
煮込んだスープにナンプラーと生姜を入れてご飯を炊く。
フィスラーだと、国産米を炊くのと同じ時間の加圧3分で。
スープはほぼ同量、気持ち少なめ。
手前によそったのは、塩豚を取り出し、残った白菜に
粗ごしトマトで作ったソースを入れ、またすこし煮込んだもの。
最近は、白菜のトマトソース煮をよく作る。(普通の鍋で)
ブイヨンを少し入れれば、お肉を入れなくてもじゅうぶんおいしい。
玉葱も入れ、トマトソースを入れたら、野菜の水分だけで蒸し煮。
思ったよりもこくがあって、ミネストローネのようになる。
そこに細めのパスタを入れてもおいしい。
さてこのタイ米の炊き込みご飯、 胡椒をふって、パクチーをのせて
スプーンで。
ご飯がスープでほろほろ崩れておいしいです。
半分イタリアン?
その2。
鶏挽肉と青菜の炒め物。
油あげで作ろうかと思ったけれど、ひさしぶりに挽肉を買ったので。
にんにくと生姜を炒め、香りが出たら挽肉、人参、玉葱、青菜を炒め、
ナンプラーとスープでざっと味をからめて、最後に醤油を入れて。
青菜はターサイだったと思います。
唐辛子を入れようと思っていたのに忘れる。
実は料理の本を買ったのだけど、それを見ずに適当に作っている。
その3。
春雨のスープ。
ひき肉に塩胡椒し玉ねぎのみじん切りを混ぜ たミートボールを
生姜とレモングラスを入れたチキンスープでゆでて、
さらに出汁をとっています。
しいたけを入れて、もどした春雨を入れ、
ナンプラー、塩胡椒で味を調え、最後にパクチーを。
このスープを炒め物にも。
日付が変わって、日曜日のご飯。
生春巻き。
以前作ったのはもう何年前だったろう……。
最初サニーレタスがあったので大きなまま敷いたら失敗。
ライスペーパーからはみ出るので、のりしろがなくなってくっつかない。
それで、千切りにしたレタス、千切り人参を塩と柚子酢であえておいたもの、
細切りの卵焼き、焼いて細切りにした油あげ、バジル、
鶏挽肉とニラと春雨の炒め物、ゆでた海老が入っています。
油あげを入れたことが味に効果をもたらしたかどうかは不明。
思いついたものをあれこれ入れてしまった。
このライスペーパーちいさいよぉ、と思ったけれど、具をのせ過ぎでした。
たよりなげにくずれそうな巻きあがり。うーん……。
ライスペーパーは、まな板にラップを敷いてライスペーパーをのせ
霧吹きでまんべんなく水分をかけたら、その上にラップを重ね、
またライスペーパーをのせてのくりかえし。
そのまま5分くらいおくと、もどって巻ける状態になっています。
このもどし方だと、キッチンペーパーに挟んでもどすよりも気楽です。
生春巻きのたれは、スイートチリソースがなくて、
甘みを抑えたチリソースのようなタイドレッシングがあったので、
それに柚子酢、甘みが足りなかったのでママレード、
ピーナッツのかわりに炒ってみじん切りにした松の実、パクチーを入れて。
炒め物に使った干し海老のみじん切りもすこし。
スイートチリソースって、無いと食べたくなる。
これはこれでまあまあ。
今まで食べたことがないような生春巻きだった。
自分で作って言うのも変ですが。
スイートチリソースの味の印象が強いのかも。
この具材だと、マヨネーズもあったかもしれません。
これはふつうの日本の大根と油揚げの味噌汁。
パクチーのせて気分はアジア。
ほかにも作ったものがあるのですが、このへんで。
作り終えたところで疲れて寝てしまう。
(正確には、食べ終えたところでですが)
ストレス解消になったか……作りすぎて疲れただけかもしれない。
ぜんぜんタイ料理じゃないとご不満な方は、
どうか大目にみてください。
これは椿のわびすけ。「初嵐」という品種だそう。
わびすけのなかでも、葉もつぼみの形も細め?
茶道の初釜で、よく活けるそうです。
ごめんなさい、聞きかじりでお茶の事くわしくありません。
実は昨年暮れに、蝋梅と一緒にいただいたもの。
長い休暇中まっくらな部屋においてあったのですが、
年明けに職場に出てみると、蕾がひらいていました。
椿は活けたあとにも蕾がひらきやすい花だと思いますが、
とてもうれしかった。
いつもはカサカサになって落ちてしまう蝋梅の蕾も、いくつかひらきました。
お花をくださった方から「おじょうずねえ」とほめらてもらいました。
蕾をゆすらないよう、水を換えなかったのがよかったのかな……。
****************
古い写真ですが、たまごのような椿を見て、魚の卵→数の子と連想して。
数の子入りの松前漬をいただくと作るサラダです。
松前漬に大量の(3本くらい)千切りニンジンを足し、米酢を入れてよく混ぜます。
それだけなのですが、とてもおいしい。
ニンジンいくらでも食べられます。セロリもあいます。
松前漬はもちろん数の子なしでも。
わたしはお酢もどどどと入れますが、お酢なしでもだいじょうぶです。
和えた翌日のほうが味がなじんでおいしいです。
◇◇◇
日曜日は恵比寿の東京都写真美術館で
『木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン』展を見る。
1952年に撮られた、生まれ育った町の名前がタイトルの写真を前に、
別の感動を味わう。
気分は「タイ」です。(笑)
先週忙しかった上に、冷たい風がびゅうびゅう吹いた日に用事があって吉祥寺へ。
用事といってもすぐに済んでしまうことなので、せっかく電車に乗っていったのに
なんだかとんぼ返りはもったいない。
それで前々から行きたかったお店へ。
タイ料理のお店です。
「アムリタ」とは不老不死の水「甘露」の事、とお店のパンフレットに。
このお店はほんとにおいしいです。
生春巻きとトンとろ香ばし焼きを頼み、うーんと迷ってスープご飯のSを追加。
一人だと、何皿も頼めないので残念です。
ここの生春巻きはぎっしりつまっていて、もちろんおいしくて大満足。
初めて生春巻きを食べたのは、新宿のアジアンキッチンだったか……。
その時一人で二皿、生春巻きを食べました。
以来、おなかいっぱい生春巻きを食べたいと自分でライスペーパーを買って作りもしましたし、
メニューにあるお店では必ず注文し、お惣菜でも買ったり…。
けれどもここアムリタ食堂の生春巻きが現在1位です☆☆☆
香ばし焼きも、スープご飯もおいしい♪
もともとエスニック料理は大好き、パクチーや香りの強いハーブも大好き。
毎日ここでご飯食べてもよいくらい。
それで一気にタイへ気分が向いて、ジャスミンライスやタイ・ベトナム料理の本を
買ってきたので、まずはスープご飯を作ってみたいと思います。
ジャスミンライスっておいしいですよねー。
よし、タイ料理に挑戦するぞー。
*
***
*
土曜日はフィリア・プロジェクトの『from/to 9.11 ビクトル・ハラの歌が殺されるとき』を観に両国へ。
これまで観たフィリア・プロジェクトの舞台のなかで一番好きでした。
1973年の9月11日という奇しくも同じ日付を結ぶことによって、
わたしたちがその線の上で生きているということ、生きつづけなければならないということ、
その直線をこちらから、そして向こうから彼方へと眼差しを向けたときに、
わたしたちは「生きてきた」ということにもあらためて気づかされたのでした。
過去の悲惨という大きな出来事だけに目をとられると、人が生まれ死んでゆくということや、
ささやかなことで笑い泣いている姿が見えにくくなります。
けれどもどのような状況であれ植物が芽吹き、葉を茂らせ、倒れ踏みつけられても
また立ちあがり新しい芽を出してきたように、わたしたちの生命のいとなみも
つづいてきたのだということ、その確かなことを希望として感じられたのでした。
フィリア・プロジェクトの舞台を、観客という傍観者のまま観ることは難しいのですが、
詩が無いと走り回るその人に、手渡されたその詩を今度はこちらから差し出したくなる、
そのように自分が意志を持った瞬間を、種子のように抱いて帰りました。
演じた女性たちの指さきの小枝が息を吹き返すように芽吹き、
その葉がわたしの内でも青々とそよぎ始めています。
『糸の宝石』というのは、本の名前。
娘にあげようと買ったのですが、あげずに自分のものにしちゃおうかと思ったほど。
そんなけちなことしないで、あげましたが。
でも、感動しました。
パリの蚤の市で、レース編みの見本や編み方などを書いたものが入った段ボールを見つけ、
それを買って日本に持ち帰り、本にまとめたものです。
美しいクロッシェレースの本。
編み地記号じゃなくて、編み方を文章で書いているんですね。
娘の話によると、編み地記号というのは、日本ではふつうですが、
海外にはないそうです。(全くないのかは、未確認)
わたしは編み物はしませんが、クロッシェレースの見本を見ているだけでも
うっとりため息が出ます。
編み物をしない方にもおすすめ。
なかの文章もすてき。
『糸の宝石』 (ラトルズ刊) ¥1890
レースの美しさにも、それを本にした人の思いにも感動しました。
ほんとにおすすめです。
☆北斗七星
☆これは、息子たちからのプレゼントのフレーバーティーに入っていたもの。
☆紅茶の葉っぱのなかの銀星のような金平糖だけ、拾いました。
かじってみたら、星は甘かった。
どうしてか四角い瓶が好き♪
☆ひさびさに食べ物の写真を。2色ピザ餅。
左側が玉葱とエリンギとハム、右が残り物の挽肉とニラで作った肉味噌。
チーズをのせて、真中に卵をのせて、250度のオーブンで10分くらい?
もっと短くていいかも。
焼きあがったらすこしだけお醤油をかけます。
くっついているので2種類ってわかりませんね。
☆真中の卵がのったところを切ってみますよ。
やはり、見分けがつきません……。
卵なしでもいいわけですが、チーズと卵はよくあいます。
肉味噌とチーズもわりとあいます。
そのほか、すき焼きの残りに入れたり、いろんな残り物とも相性がよくて
お餅ってえらい。
ピザ餅は、どこのお宅でも作ると思いますが。
お正月も終わって、今頃……でしたね。
☆☆☆
原稿を仕上げなければならないので、このへんで。
元日に多摩川へ。
染色用のヨモギを探しに。
ヨモギは見つからないので、探すのを忘れて枯れ草を観察する。
気がついたら、草の実や綿毛がコートの裾だけではなく、
袖口や靴下にまでくっついていて、イガだらけだった。
手で払おうとすると繊維の奥にもぐりこんでしまい、
あきらめてそのまま枯れ草のなかに分け入って写真を撮る。
ススキを透かしてみると、
穂綿が、まるい虹のように見えた。
まぶしいものばかり見ていたら、
あたりがざわざわいいはじめて、急に強い風が吹き始めた。
ススキが音を立てて風にゆさぶられる。
穏やかな晴天で風もなかったのにどうしたんだろう……。
ざざざざと草むらはざわめき、風はうなり、地響きに似た音がして
一瞬地震かと思って身構える。
もしかしたら巻き上げられるかもと不安になる。
見渡すと誰も近くにいない。
あ……。
枯れ草がいっせいに空に舞いあがる。
カメラを持っていることを思い出してあわてて撮ってみたけれど、
一瞬なにがなんだかわからないくらい巻き上げられた枯れ草は、
あっというまに青空にすいこまれてしまいました。
気がついたら、風もやんでいた。
すべてがおさまってから娘が姿を現したので、
すごい風だったねと言うと吹いていないと言う。
ではあれは「竜巻」?
今年最初の日に、生まれて初めての体験。
まるでリュック・ベッソンの映画で、ジャンヌ・ダルクが神の声を聴く場面のようだった。
あんなふうにざわざわした。
もちろん、風の音しか聴いていないけれど。
帰ろうと思って振り返ると、川の水が光っていた。
前には長い影。
昨年、大晦日に見た「鏑木清方展」の言葉から。
+
風流のやまとごころ、清くあれ、潔くあれ、うるはしくあれと念じつつ、
己が途をただ、ひたとゆくばかり、作者の期するところその他にない
+
鏑木清方の言葉です。
鏑木清方の創作への態度と生き方が、この一言に現れていると思います。
ようやく時間ができ出かけてゆき出会った言葉、
人は思いがけないところで、励まされるものだと思います。
かつて、新聞の日曜版に載った鏑木清方の絵を
しばらくしまって持っていました。
手帳に展覧会の期間を書きいれたのですが、
その時はどうしても行くことができませんでした。
いつか見に行こうと思いながら、ようやく夢がかないました。
日々、なかなか目的にたどり着けず遠回りしてばかりいるような気がしていましたが、
実は、人はなかなか曲がれずにまっすぐ願うほうに向かっていて、
時間をかけてもいずれはたどり着けるものなのかもしれません。
それをひそかに信じながら、新しい年を迎えました。
鎌倉にある鏑木清方記念美術館にも、できれば年内中に行ってみたいと思います。
+
皆さまが穏やかな新年をお迎えでありますように。
今年もよろしくお願いいたします。
銀葉の舟/佐藤恵