1月21日は、新井豊美さんのご命日です。
新井豊美さんを思って、庭の水仙を生けました。
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空に向かって まばたく
千の眼があおあおと放たれ
地に向かって 数千の
こどくな脚がさらにふかくあたためられている
至福へのまぼろしが
丘の上に若いユーカリを立たせ
地上にとってそれは
とるに足りない〈物語り〉であるとしても
いまはただ
たんじゅんな生命について考えていよう
ここから翔びたって果てから果てへ
おおきな渦をそらに描き
さまよいつづけるわたしの鳥たちのために
ここでわたしよ、すこしの間
眼を閉じてさいしょに見えるものについてだけ
想っていよう
光と 雲と
やがてわたしの上にひろがり
やすらげてくれる緑の円蓋
〈愛〉という
観念について
(『半島を吹く風の歌』所収、「ここで私よ、すこしの間」より)
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詩を読みながら、なんだか泣きそうです。