もしも憶い出が厚みや温もりを持っていたら?
吐息を吹きかけたりなまなましい感触を持っていたら?
苦悩にうずくまったり笑いかけたりしたら?
取り返しのつかない傷は痛みと共に甦り、息を吹きかえした者は再び死ぬことができない。
失いたくないと願うならば、存在そのものに向けられた切尖を感じながら無限の廻廊をまわり続けなければならない。
タルコフスキーのDVDを何本か手に入れたと話したら、息子が新訳の「ソラリス」を貸してくれた。
この小説が好きで、旧訳版も読んだと言う。
かわりにDVDの「惑星ソラリス」を貸してあげたのだけど、なかなか見ようとしない。