◆ある朝窓をあけたら、ベランダが花園になっていました。
◆雨の日が続いて、鉢植えの水遣りも忘れていたくらいなのに、
あかるいピンクの花がたくさん咲いていて驚きました。
いつのまに……。大げさではなく夢のよう。
重い水を持ったまま、しばし眺める。
えーと、これは……、ああ、なでしこ。
◆そういえば、鉢の草も伸ばし放題で、たまに草取りをした時も、
なんだか根が強情そうで抜きにくそうな草だと
そのままにしていたのでした。
カワラナデシコだったのですね。
正確に言うと、葉先の尖ったほかの草と見分けがつかなかったのでしょう。
花のかわいらしさで淘汰するというのも人間本位ですが、
こんなに優しい花が咲くなんて、思いがけない贈り物のよう。
これを運んでくれたのは、鳥?
植えてもいないのに?
……あ……どなたかにもらった種を薔薇の鉢にまいておいたのだったかも?
◆つぼみの先が、ぼさぼさに見えたのは
裂けたような花びらがまとまっていたからなんですね。
◆めしべのくるくるかわいいでしょう。
◆つぎつぎ咲いて……
◆花も終わりに近づいて、細くよれはじめた花びらもまたいとおしい。
◇
◆同居人、来たる。
行きがかり上、一緒に暮らし始める。
のび太という同居人についてはまた。