日曜日、ドガ展へ。
ドガは、わたしがまだ絵の好きなただの女の子だった頃、憧れた画家。
ふんわりと光に透けて持ちあがったチュチュや、
トゥーシューズのリボンを結ぶ姿に、
じっと見入った田舎の女の子の気持ちは、想像できるでしょう。
大人になって、もっと複雑な見方をするようになったし、
好きになるにも込み入った感情がからまることが多くなったけれど。
そんな大人の眼よりも先に、真っ先にひらいたのは、
どこかに仕舞ってあった少女時代の宝石箱だったかもしれない。
きれいなものは好き。
実際に見たら、もっと細やかで空気感までとどめられたよう。
写真で言ったら、フォビオンということかも。
ドガが気難しい人だったということさえ、好ましく思えた。
そういうことはもちろん、大人になった今だからということだけど。
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その後、人形町に向かい、『贋作・シミキン』という一人芝居を観る。
世の中には、地道に成功を重ね、
人生がうまく動いていくという人もいるけれど、
だめな人というのは、かなしくていとおしい。
精一杯なのに、過剰過ぎてはずしてしまったり。
ドガの踊り子に見入っていた女の子もすっかりおばさんになったけれど、
未だに不器用でつまずいてばかり。
舞台を見ながら、ほろりと泣けた。
そういえば若い役者さんなのに、
シミキンという人をうまく演じていたなあと、
再びしみじみとした気分で思う。
観に行ってよかったな。
座り心地のよい椅子で、ゆったり舞台に集中できた。
三日月座というなんだか懐かしくて居心地のよい場所で、
カフェのランプシェードや窓もすてきだった。
日曜日のみの公演、来週12日が最後の公演日です。
わたしが観たのは、(B)の乃木太郎さんが演じた回。
乃木太郎さん、一段と成長して、よい演技をしていたな。
おばさんは、そういうことでもほろりとしたのでした。