行ったのは4月10日。
風が吹くたびに、桜の花びらがいっせいに舞いあがります。
桜並木。
さくら公園。
枝を高く伸ばし、生命力あふれる桜の木。
『いのちの初夜』(北條民雄/角川文庫)の川端康成による「あとがき」から、
川端康成に宛てた北條民雄の手紙の部分を。
「……この作、自分でもよくできているような気がしますけれど、
また大変悪いんではあるまいかと不安もございます。結局自分では
よく判断ができません。けれど、書かねばならないものでした。この
病院へ入院しました、最初の一日を取り扱ったのです。僕には、
生涯忘れることのできない恐ろしい記憶です。でも一度は入院当時の
気持ちに戻ってみなければ、再び立ち上がる道がつかめなかったのです。
……僕には、何よりも、生きるか死ぬか、この問題が大切だったのです。
文学するよりも根本問題だったのです。生きる態度はその次からだったの
です。……ほんとに僕には、文学は第二の仕事なのです。……でも、もう
根本問題は解決いたしました。これからは生きることは書くこと、そうなろう
と思っております……」
◆静かな園内を思索しながら散策できたことに、感謝します。
どのような関係においても、「互いの秩序を尊重しながら共に在りたい」
と考えています。