あずちゃんは、冬を越すことができませんでした。
クリスマスも、一緒に迎えることができませんでした。
その日は朝から、あずちゃんが出てくる小さなお話を書いたのでした。
ずっと、あずちゃんのことを考えながら過ごしたのでした。
その頃、なんだか食欲が落ちているように見えて、
気温が下がってきたせいかな、餌を消化できないのかな、
と心配になっていました。
でも、一見元気そうだったので、油断していたのです。
だからその日、あずちゃんの負担がないように買った
小さめの餌を持って帰りました。
でも、あずちゃんは食べませんでした。
食べたことが確認できるように、小さめの飼育箱で
ひとりずつ食事をさせていたのですが、
あずちゃんは食べませんでした。
透明なケースのわたしがいる側にくっついて、
じっとずっとこちらを見ているのです。
その時のうるんだ目。
しばらく様子を見ても食べる気がないようなので、
元のケースに戻しました。
いつものように跳ね返すような力が手足になくて、
急に不安になりました。
植物の葉の上におろしたのですが、箱の底におりて
うつむくようにしていました。
それは、いつものあずちゃんの姿でもありました。
夜中にすこし姿勢がくずれているような気がして
ふれると、あずちゃんはもう動きませんでした。
あずちゃん、ごめんね。
ちいさなちいさなあずちゃんの、ずっしりとした重さ。
今まで言わずにいたというよりも、
口に出すことも文字にすることも嫌でできませんでした。
今もこんなこと書いている自分が嫌でたまりません。
でも、そろそろ書こうと思いながら日にちばかりが過ぎていくので。
あずちゃん、ごめんね。
最初から、ちいさかったあずちゃんばかり気にしていたので、
たびちゃんもごめんね。
それから、のびちゃん、いつもありがとう。
あずちゃんは、薔薇の鉢植えで眠っています。