夕方、新しいセミの抜け殻を見つけたと思ったら、
背中に割れ目がありませんでした。
いま土から出てきたのかしら?と通り過ぎ、しばらくして戻ると
殻から出たばかりらしいセミが、逆さにぶらさがっていました。
あわてて写真を撮ったのですが、
すでに辺りは暗くなりかけていて、うまく撮れませんでした。
でも、初めてセミの羽化に立ち会えて、感激しました。
翌日、また羽化前のセミに出会い、しばらく待機していたのですが、
蚊の猛攻撃と光量不足に負けて、家の中で観察を続けることにしました。
後で調べて、クマゼミだとわかりました。
羽化の様子を撮った写真を載せます。
フルオートでフラッシュを焚いたりマニュアルに戻してみたり、
試行錯誤で撮ったので、色調がちょっとばらばらですが。
虫や生き物が苦手だという方は、ご注意くださいね。
透明な翅に真っ黒なからだのクマゼミですが、
羽化したては、黄金のからだに妖精を思わせる翅の色です。
21時8分。
ちょうど活けてあったフェンネルの茎に、つかまってもらいました。
殻をまとっている状態ですが、思ったよりもよく動きます。
翅が緑色に浮き出ていますね。
22時33分。
心なしか、殻の下が充実してきたように思えます。
翅もくっきりしてきたみたい。
0時15分。
なかなか変化しないなあと歯磨きしていたら、
先ほどより背中をまるめているみたいです。
あわてて背中を見ると、うっすらと背中がひらきかけています。
0時19分。
割れた背中から、からだが見えてきました。
0時21分。
からだをまるめながら、出てきました。
0時28分。
もうすっかり顔を出しました。
そのまま、後ろへ反り返ります。
0時34分。
黄金色のからだ。
クリオネのように小さな翅。
0時38分。
0時45分。
翅をまるめて、しっぽの部分だけでぶら下がっています。
0時47分。
お腹の側から、顔を。
0時51分。
0時58分。
あっ。
ちょっと動きだしたと思ったら、上半身を持ち上げて……
0時59分。
すっかり殻から出ました。
わかりにくいですが、抜け殻には、後ろ脚と中脚の間に、
おへそのような突起があります。
このおへそが、クマゼミの特徴だそう。
1時00分。
お腹の方から。
産卵管がありますから、メスですね。
オスには、剣道の防具のような胸当てがあります。
(前日に、ブロック塀で撮ったオスの写真)
(胸当て、わかりますか?)
1時1分。
翅がまだひらききっていませんね。
1時13分。
ひらききった翅。
1時16分。
羽化が始まってから、約1時間経過しています。
1時17分。
幻想的な翅色。
1時29分。
翅のアップ。
1時30分。
ひらいていた羽根をからだにそわせています。
写真は、ここまで。
翌朝、外へ飛び立っていきました。
成虫は、真っ黒ですが、朝の時点ではまだ体色は濃くありませんでした。
今回は夜中の羽化でしたが、
夕方から夜にかけて羽化することが多いようです。
まだ光が残る時間帯に、羽化を終えてひっそりと休んでいる姿も
見ますし、日没頃に羽化を始めるのにも出会います。
今回は明るすぎることに警戒して、なかなか羽化できなかったのかもしれません。
神聖な時間を邪魔して、ごめんね。
羽化の瞬間に立ち会うことができてとても幸運でしたが、
じつはその後も何度も見ています。
土中から出てきたばかりの幼虫は力強く、
羽化する姿は何度見ても神秘的です。
元気にその生涯を全うできることを願いながら、
セミも人間も、残された時間の貴重さを思います。