実家の母の台所は、窓が大きくて明るい。
うらやましいなあと言うと、リフォームの時に窓が半分の大きさの予定だったけれど、
一面窓にしてほしいと言って広げてもらったのだという。
もともと古い家の台所は、ガラス窓とガラス戸で囲まれていて明るかった。
だからと言っても、贅沢を言わず辛抱ばかりしてきた母が、
台所の窓に関しては自分の希望を通したことに少し驚き、感心した。
母の台所の窓からは、正面に山が見え、そして庭の梅や花咲く木々が見える。
明るいだけではなく、景色のよい窓なのだ。
母の台所から見える景色を思うたびに、流しに向かう母の背中も浮かんでくる。
母はトマトが好きで、トマトだけでご飯が食べられると言う。
トマトがご飯のおかずになるとは思えなかったけれど、
昔のトマトは美味しかったなあ。
そんなことを思いながら、久しぶりにトマトのファルシ。
くり抜いたトマトの底にお米を少し入れて、キノコや野菜を混ぜた
ハンバーグの種のようなものを詰めて、オーブンでじっくり焼いています。
わたしはストウブのニダベイユという鍋に並べて、今回は蓋をせずに
200度で30分くらい。
くり抜いたトマトを大きめのまま種に混ぜて焼いたら、
ドライトマトのように濃縮した味になって美味しかった。
水分が蒸発してしまったせいか、お米はかたかったので、
蓋なしの場合、次はお米なしかご飯にしようと思う。
添えたポテトサラダは、マッシャーでつぶしたジャガ芋に、
ピクルスにした玉葱や野菜とピクルス液を混ぜてから、マヨネーズで和えたもの。
生の玉葱を入れるより、簡単で美味しいです。
平塚市美術館で、ブラティスラヴァ世界絵本原画展
「絵本をめぐる世界の旅」を観る。
暑くて歩くのをあきらめ、平塚駅の④乗り場からバスに乗る。
午前中、別の用事があって、そこから足を伸ばしたので、
着いてすぐに美術館内のレストラン「ラ・パレット」でランチ。
「蛸とオリーブのサフランリゾット」(だったかな?)と赤ワイン。
サラダにコリンキーという南瓜のスライスが入っていて、美味しかった。
「絵本をめぐる世界の旅」展は、とてもよかった。
原画に圧倒されながら、細部まで見入る。
絵本て、なんて豊かで広くて大きいんだろう。
幼い頃に託された養父母の家で、たった1冊の絵本をくり返し読んだという
福井桂子さんの言葉も思い出す。
視覚と、声にして読んでもらった聴覚による記憶と、
なぞるようにたどたどしく読んでいた幼い人の声の記憶も重なって、
絵本による体験は、なんて人を幸福にしてくれるんだろう。
そして、世界中の子どもたちも同じようにどこかで
幸福な体験をしていると考えると、深く救われたような気持ちになる。
閉館間際まで3時間かけて観たけれど、絵本の世界は奥深い。
行ってよかった。
田島征三『ぼくのこえがきこえますか』を館内で読む。
絵本の中の、母親の悲しみもまた忘れられない。