この二年間、庭や畑の手入れがほとんどできなかった反動か、
今年は薔薇の苗をいくつも買ってしまいました。
母が滞在している間、ずっと一緒に草刈りをしていたのですが、
薔薇が咲く季節の前に帰ってしまったことが残念です。
一番最初に咲いた花は、早めに摘んで部屋に飾ります。
香りのよい梅花ウツギのベルエトワールとブルームーン。
たった数輪なのに、夜更け過ぎに狂おしいくらいに香ります。
バーガンディーアイスバーグ。
香りは無いけれど、花色がシックでときめきます。
珍しく、というか我が家の庭では一本だけの黄色い薔薇。
旅の記念に出かけた先で買いました。
サンスプライト(別名フリージア)という名前だそうです。
咲き始めに生けたのに、ちょっとひらきすぎていますが。
ヘリテージ、スヴェニール・ドゥ・セント・アンズと一緒に。
たわわにあふれるほどの量感で咲き進みます。
生け始めは、きゅっと小さな蕾をひらいたばかりでした。
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薔薇は本来わりと強い植物ですが、薬剤散布をしていないこともあってか、
ふと気づくとチュウレンジバチの幼虫に丸坊主にされていたり、
強風の後に葉がちりちりになってしまったり、
あっという間に黒点病で葉が落ちてしまったり……。
気づいたときには既に大きなダメージを受けていて、
手入れを怠った自分を反省することもしばしばです。
なかには病気にも虫にも強い品種があって、
その健やかさにはほっとします。
反面、病気にかかりやすい品種もあります。
手のかかるそれらには、困らされるばかりかというとそんなことはないのです。
うまくいかないときには途方に暮れますが、
それらには他には無い色であったり花容であったりという希少性が
備わっていることも多く、花が咲いたときには植えてよかったなあとしみじみ思います。
そしてそれよりも、病害虫で弱った危機的な状況から脱したとき!
手立てもなく共にうなだれるしかなかったある日、
新しく芽吹いた葉に回復の兆しを見出します。
そんなときに、病気のダメージを受けながら何度でも立ちあがる薔薇こそ、
生命力あふれ強くて美しいと思うのです。
私の力が及ばない神秘的な意思さえ感じます。
薔薇にはそれぞれ固有の良さがありますが、病気の薔薇には励まされます。
病気のせいで本来の美しさを保てないときでも、
その薔薇の存在に、愛おしさと感謝の思いが湧いてきます。
世界中の病気の薔薇へ。
ありがとう。
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甘酢にひたしたラディッシュで作った薔薇をそえて。
ルッコラのオムレツ。
母が滞在しているあいだ時々作った焼きおにぎり。
ちょっと焦げちゃったけど、手前はじゃことチーズをのせたもの。
ほかは味噌と青森みやげのほたて醤油をまぶしたもの。
ちゃんとご飯を食べて、みんな元気になりますように。