昨年暮れに空を見上げながら歩いていると
ふいに「天泣」という言葉が舞い降りてきて
胸に落ちてとけた。
セラーン……
「セラーン=天泣」とは、八戸の豊島和子さんの舞踊のタイトル。
夕暮れ前のまだ明るい空から降りてきたものに
わけもなく涙ぐみそうになって
しばらくお会いできずにいる八戸ゆかりの方々へ
思いを馳せながら歩いた。
冬の八戸に行こうと思っていた。
1月5日に伊藤二子さんが
1月6日に豊島重之さんが
ご逝去されたと聞いた。
空が明るく高く澄むほどに
胸に満ちてくる淋しさは
セラーン……
果たせなかったことの数々が
果たしたいことのいくつもが
渦巻いたままの胸を鎮めながら
夕暮れ空に輝く
明るい二つの星を見ている。