そよ風が吹いて
生と死のどちらにも属さないものが天末線上に現れると空が急に澄みわたる
耳をすますと鶯が啼いている
母星が子星を連れて半球上を旅に出る
見えない昼の星が天穹を東から西へと動く
臍の緒はすべて宇宙の縁に繋がっているのだとその人は言った
「広大なものに包まれているから何処にいても不安はない」
(『草花丘陵』/思潮社刊所収「灰色の雲の下」より)
今日は、新井豊美さんの御命日です。
寒い冬の日には、『草花丘陵』の明るい冬の情景が思い浮かびます。
葉を落とした冬木立の清々しい明るさ。
枯れて、遮られていた光は大地に届き、種子が芽吹く。
枯れるとは、なんて優しいことなんだろうとも思います。
詩集のなかにはこんな言葉も。
「わたしはこれからどうすればよいのだろう//
木になりなさい/木のなりをなさい」
(同「ざくろ」より)
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手入れをしなかったこともあって、今年はミモザが枝を広げ、
たくさんのつぼみをつけています。
先日の強風で折れた枝もあったけれど、このまま咲いてくれたらうれしいです。