昼休みのすいた時間に、職場近くの若い女性がやってきて話す。
彼女の壮絶な半生に耳を傾け、それでもくじけない彼女の真摯さについ涙ぐむ。
それで用事はというと、ここには書けないそういった事情から、身分証明が必要なタスポカードは作れないと言うので、タバコを一つ手売りする。
そういう事情を抱える人はわりと多い。
昨日はあんなことを書いてしまったけれど、新しいことというのは、人の都合におかまいなく、乱暴に多くの人を振り落としていく。
思いがけないことで、その人の影が映し出されたりする。
私は時々やってくる彼女のことが大好きで、心底しあわせになってほしいと思う。
「これからはきっといいことあるよ」などとも言ってしまうのだけど、彼女がこれからの人生を健康で暮らしていってほしいとほんとうに思う。
すると「タバコやめる?」ということになり、そうなると彼女のささやかな憩いの時間まで奪われることになり、……、うーんと顔を見合わせ、まずは減煙から始めるということで、1個手渡す。
身体に良いとか毒だとか、正しいとか間違っているとかで考えると、世の中はわりと単純だけど、現実の多くのことは煙ににじんでいたり、目にしみたりするのである。
それでタバコの売り上げは大幅に減り、こうやって話を聞くタバコ屋のおばちゃんも町のタバコ屋も消えていくかもしれない。
しょうがないよ、で片付けるには非情すぎる、生活や人生までをも変える厳しい変化である。