年輩の男性が見えて「タコスカードの未成年喫煙防止における効果」を30分ほど力強く説いて帰っていった。
つまり「からだに悪いので子どもはタバコ喫っちゃいけないよ。だから成人識別カードには賛成である」という話なのだけれど、カードの名前、正しくは「taspo(タスポ)」であって「タコス」ではない。
しかし今まで聞いた中でも、秀逸な間違いだったので、黙って頷きながら話を聞いた。
それで落ちは、そこまで力説しながら、その人は未だにカードを作っていないということだった。
もう一度書くけれども、タバコの成人識別カードは「タコス」ではなく「タスポ」である。
けれども「タスポ」と正しく言う人はほとんどいない。
カードを持っていない人は、ほぼ名前を間違えると言ってもいいくらいだ。
慣れているのであえて訂正もしない。
たぶん間違い例の一番多いのは「パスポ」である。
(これは数種類のカードの名前が混じっているような感じ)
ついで、パスモ。
(それは電車には乗れるが自動販売機でタバコは買えない)
ポスカ。
(ガム?マジック?なんかの商品名であったと思う)
パイポ。
(惜しい?けれども禁煙に使ってほしい)
タポス。
(ものすごく残念、もうちょっと)
ほとんどの人がこの中のどれかを口にする。
すっかり間違って覚えているので、堂々とはっきりと言う。
こう書き並べたのを見ても、「タコス」は群を抜いているだろう。
だいたいなかなか覚えられない名前をつけたというだけでも、うまくいってないような気がする。
そう考えると「Suica(スイカ)」ってうまく名付けたな。
持っていない人も、すぐに覚えられる名前だった。
西瓜とすいすいとカードと、記憶に結びつきやすい音の組み合わせだと、あらためて感心する。
「タスポ」って、実は毎日まちがいばかり聞いていると、こちらもあやふやになる。
タバコのタ?
喫うのス?
でもなんでタスポ?
いっそ「タコスカード」のほうがいいのではないだろうか。
タコスのイメージで印象づけて、タバコと喫うから音を拾ったと言えば納得できる。
名前からして納得しがたいタポス......じゃなくてタスポである。