今日は、あにの命日。
昨年の今日、病院のベッドを囲んだわたしたちを、
横たわった身体から抜け出て
見おろしていたかもしれない。
背の高い大きな人だったから、いつもわたしたちは見上げるように話していたのだ。
長さの足りないベッドから足がはみ出ていた。
突然倒れて、運び込まれた病院から帰ることができなかった。
5ヶ月間、横たわったまま、医者も家族も驚くような強靭さで病と闘い、
あには死なないと家族は思った。
あにもそう思っていたかもしれない。
突然の不運にすさんだ様子を見せることもなく、威張ることもなく、
意識が混濁した中でも手当を受ける度に「どうもありがとうございます」と言うのだった。
生真面目でしかも大らかなあには愛され、
あにもまた見舞った知人に家族がよくやってくれると話した。
深刻な容態が続いたけれども、あにの性格に助けられて、
さいごまで明るさを失わずにあにが生きていることに感謝することができた。
善い人でした。
みな、あにが好きでした。
白薔薇が散ったあとに咲いたクレマチス。鳥のよう。