Kさんから、内田百閒の『第一阿房列車』(新潮文庫)を借りて読んだ。
ひさしぶりに活字を読んで笑う。
用事というのは列車の旅をすることのみ、
着いた先に用事はないけれど鉄道の旅をし、
宿でお酒を飲み、観光地へは行かず、帰ってくるというもの。
旅先でも自分のこだわりは崩さない、そのため時にやせ我慢もする。
用事があって出かけるわけではないので、
気の合うヒマラヤ山系君という人物と列車に乗っているだけの話なのだけど、
枚数が足りないくらい、話は尽きない。
おもしろくて、買って自分の手許にも置きたいと読みながら何度も思う。
それでさっそく、別の本ですが、『ノラや』を注文しました。
返す前に名残惜しくて(笑)、写真を撮る。
Kさんと「鉄道唱歌ってあるんですねえ」と話すと、
「わたしの友だちは最初から最後までみんな歌えるのよ。長いんだけど」だそう。
Kさんからは時々本を貸していただく。
新刊にも通じていて、ラジオから情報を得るのだそう。
ラジオで朗読していたのを聴いておもしろかったからとおしえてもらう。
以前お礼に、川上弘美さんの『センセイの鞄』を貸したら、
親戚からその友だちへとつぎつぎまわって、ぼろぼろになって返ってきた。(笑)
「おつかれさま」と言って笑ったほど。
本は読まれてこそしあわせ。
Kさんは、84歳。
最近読んだという『1Q84』について話し込む。
その後、まったく別の本を読んでいたら、解説に「内田百閒」という名前が出てきて驚く。
読んだばかりの作家の名前が、たまたま次に読んだ本の解説に出てくる確率は?
実はこういう不思議な活字つながり、妙に多いんです。
すごいと興奮するのは本人だけかもしれませんが。
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さて夕飯は、実家から新米が届いたので。
子どもの頃、新米がとれると、たくさんの塩むすびと塩引き鮭が食卓に並びました。
ご飯と塩引き鮭だけ。
でもそれはごちそう。収穫のお祝い。
好きなだけ食べてよいのでした。
おかずはなんにもなくても、新米はご飯だけでも食べられるくらいおいしかった。
けれども次の日から、また古いお米を食べるのでした。
年に一度の、新米を初めて食べる日が特別だという意識は、いまだに残っています。
昔のように、塩むすびと塩鮭で食べるつもりだったのですが、
炊きあがった湯気を見て、にぎるのすっかり忘れてしまいました。
新米は湯気までおいしい
焼き鮭のほかに、カボチャのソテー、名前を忘れてしまったけれどひょろりとしたカブの漬け物と。