◆京鹿子のつづきです。
◆ちいさなちいさな花びらが散り落ちます。
◆花が終わりかけるとめしべでしょうか、
◆花の根元が実のようにふくらんできます。
◆「花が終わると色がきたなくなるのよ」
あ、わたしは枯れかけた感じのほうが好きです。
◆終わりかけて花びらと雄蕊がくしゃくしゃしてきた感じが好き。
そういえば「水揚げうまくいくといいのだけど」と
いただいた時に言われたのでした。
うまくいったようで一安心。
ところが1本だけ、夕方近くになったらつぼみをつけた枝が
うなだれてきたのでした。
それであわてて切り戻すと、みるみる元気に。
ところが翌日も同じくらいの時刻に、同じ枝が、
まるで咲き疲れたかのようにうなだれ始める。
また切り戻すと、見ている間に回復し枝を持ち上げてくる。
そういうことを数日つづけました。
西日に弱いと書いてあるのを読んだけれど、
水を得て息を吹き返すように数分で起き上がってくる様子を見ると、
言葉さえも通じるのではないかと思えてくるのでした。
◆
お客さんに『思い出袋』(鶴見俊輔 著/岩波新書)を
もう読み終わったからと言っていただいたので、
お返しに書棚から 『白河夜船』(吉本ばなな)を持って出る。
通勤の時にどんな話だったかなと読み返しはじめる。
内容はほとんど忘れていた。読み忘れていたのかも。
こまったな。電車のなかで泣く。
結局家に持って帰り、続きを読んで思う存分泣く。
◆
お客さんが、ご自身のとてもつらい体験を話してくださる。
2時間くらい、ただ頷くしかできないまま、話を聴く。
人の話を聴くって、自分の話を聴いてもらっているようだと思う。
帰り際に、思わず手をがしっと握られ「ありがとう」と言ってもらう。
そういえば今週は、こんなふうに2度手を握られた。
二人とも、わたしよりも数十年長く生きている女性だけれど。
時々、恋愛やら友情やら家族の情やらとはちがう
けれどもたぶん愛情というものがあふれていくのを感じる。
人にも、動物にも、植物にも。