浄土寺から、尾道駅へ向かいます。
こういう趣のある家並みを歩きながら、ああ、わたしは
高層の建物には住めないなと思う。
地面の上に住みたいという気持ちが、尾道を歩いていて、
以前よりも強くなりました。
家は、人の一生とともに古びてゆくのがいいです。
いずれ土に返る材質というのは、なんてやさしいんでしょう。
尾道で、人生の行く末と生き方について考えました。
自分の望む暮らし方が、尾道ではっきりとわかりました。
ずいぶん歩いて、あとは駅へ向かうばかり。
と思っていたのですが、あらら、海が見えなくなって、
山のほうに向かっているみたい……。
駅は、どっちだろう……。
道を尋ねたいのですが、誰もいません。
やっと出会った方に、親切に道をおしえてもらいました。
奥に、銭湯の暖簾が見えますね。
尾道で銭湯にもはいるつもりでしたが、すでに日は暮れかかり、
時間が足りないのであきらめます。
夜明け前から歩き通しで、さすがに疲れました。
日が落ちる前に、駅に着きたい。
バス停を見つけ、バスに乗ることにしました。
やっと、尾道駅に着きました。
もうじき日没です。
月がもう見えていますね。
夕暮れの海。
おなかも空きました。
左側には、バスのロータリーがあります。
帰りの高速バスのバス停も、駅前の海側のバス停から出ます。
日が落ちて、向こうから、舟が戻ってきますよ。
今回は、往復、エトワールセト号という高速バスを使いました。
新宿駅西口の小田急ハルク前→福山
尾道→新宿駅西口の小田急ハルク前
新幹線を使うよりは安いのですが、東京⇔広島ほど
安い便は見つけられませんでした。
バス停はわかりやすく、利用するに安心感はありました。
日曜夜に尾道からバスに乗り、翌月曜日に新宿に着き、
いったん自宅に戻ってそれから出勤。
バスに二泊は、ちょっときびしい。
深夜バスって、横よりも前後を広げて、足が伸ばせると
もっと楽だなあと思うのですけどね。
ふだんも椅子で寝てしまうくせに、バスのシートで
足を下ろして寝るのは疲れるのです。
ぜひフラットになるシートの深夜バスをつくってほしいものです。
休暇が取れないので、遠くへ出かけるのは無理と思っていましたが、
思い切って出かけてみてよかった。
次は、もう少し、ゆっくり回れたらと思います。
◆
先日、東京国立近代美術館でフランシス・ベーコン展を観ました。
その時、中庭に展示していたスタジオ・ムンバイの「夏の家」がとてもよかった。
縁側に屋根をかけたような、東屋風の建物。
風が抜け、小雨にふれることができ、外を眺めながらくつろぐことができる家。
心地よい家とは……と、帰ってきてからもずっと思い描いています。
思い描くだけでも、しあわせになれる「夏の家」です。