八百屋さんで筍を見かける度に、買いたくてうずうずしていました。
仕上げなければならないものがあったので、ずっと我慢。
その間、産地も変わって、これはどこ産だったかしら。
切り口がまだみずみずしい感じだったので、思わず2本かってしまいました。
圧力鍋で、米ぬかも入れ、陶器製の落としぶたで抑え、加圧15分。
そのまま一晩放置。
さて、まずは筍ごはんですよね。
刻んだ筍と油揚げを入れて、出汁を入れ、しろでたまりと酒だけで炊いています。
かんたんだけど、美味しい。
ストウブの鍋で炊いたので、お焦げもよい感じにできました。
筍の穂先とおとうふ揚げの煮物。
「おとうふ揚げ」というのは、魚のすり身にお豆腐を練り込み揚げたもの。
わたしが作ったわけではありません。
復興をめざす宮城県石巻市で作られた商品の名前です。
練り物に近いしっかりした食感で、美味しいです。
魚の臭みは感じられず、風味は豆腐に近いので、使いやすいと思います。
鰹出汁にしろたまりで味をつけ、筍とおとうふ揚げを入れ一煮立ち。
火をとめてそのまま味をしみこませます。
出汁さえ濃いめにとれば。美味しくできます。
これ、美味しいんですよ。
筍の薄皮と生姜とえのき茸を胡麻油とラー油で炒めて、塩で味付け、
香りづけにお醤油を入れて出来上がり。
たまたま水上勉の『土を喰う日々』という本を買ってひらいたら、
「筍としょうがの炒め物」の写真が載っていたのです。
筍の薄皮だけで作ろうと思っていたのですが、生姜の繊切りも入れ、
冷蔵庫に残っていたえのき茸も入れました。
筍の薄皮というのは、皮をむくと下の白くてやわらかい部分があるでしょう。
あれを、包丁の感触を見ながら食べられそうなところまで刻むのです。
本とはちがう料理ですが、すごく美味しくて、危険なくらいです。
ご飯いくらでも食べられます(笑)。
それぞれちがった食感で、もちろんラーメンにのせるのもあいます。
水上勉さんは、若狭の生まれで、9歳の時に京都の禅寺に出され、
精進料理を覚えたそうです。
軽井沢に家を持ってからは、自分で野菜を育て、旬の山のものを採り、
料理し食べる生活に。
文章がよくて泣けます。
大工だったお父さんが、味噌と塩とめしが入っているだけの弁当箱を
持って山にはいると、めし時に山からキノコなどをとってきて、
それを焼いておかずにした話。
ほかの大工たちが鮭だの鰯だの金のかかるおかずを入れてきているのに、
うどに味噌をつけたり、木の芽をむしって食べている父を、
貧乏人の子のくせに哀れに思ったこと。
そして今、山菜の一つ一つに涙をこぼす自分を、亡くなった
お父さんはどう思っているだろうか。
こういう話が、一月から十二月の章に分けて書かれています。
本もおすすめです。
わたしは、この本をこれからの教科書にします!
もう一品。
筍のぬか漬け。
手前から、胡瓜、キャベツの芯、筍。
筍は、茹でてアク抜きしたものです。
これも美味しい。
筍って美味しいのです。
今回のはとくに、やわらかくて美味しい筍でした。
作るとどれも簡単なのに、我慢することなかった。
旬のものを逃してしまうなんて、もったいないです。